CDレビュー:音楽監督は今話題のアラルコン!「2019 WASBE:ビジャール・デル・アルソビスポ・サンタ・セシリア音楽団」





 

WBP Plus!に登録した商品でレビューを書いたもののWind Band Pressで紹介していなかった商品がたまっていたので紹介していきます。

今回のレビューはマーク・カスタム (Mark Custom)から発売された2019 WASBEのCDよりルイス・セラーノ・アラルコン指揮、ビジャール・デル・アルソビスポ・サンタ・セシリア音楽団のCDです。


2019年にスペインで行われたWASBE(世界吹奏楽大会)の公演の中から、ビジャール・デル・アルソビスポ・サンタ・セシリア音楽団(Union Musical Santa Cecilia de Villar del Arzobispo)の演奏を収録したCDです。

ビジャール・デル・アルソビスポ・サンタ・セシリア音楽団は、スペインの吹奏楽団。さかのぼるとバンドの起源は1900年代初頭のようです。分裂などを得て、今の楽団の形になったのは1964年。現在の音楽監督は今年(2019年)日本の吹奏楽コンクールがきっかけで全国的に名前が広まったであろうルイス・セラーノ・アラルコンです。このCDでもアラルコンのほか、彼を日本に紹介していた伊藤康英氏、ティモシー・レイニッシュ氏が指揮をしており、かなり豪華な布陣と言えるでしょう。

とにかくこのバンド、演奏クオリティが高い!今回リリースされるWASBEのCDの中でもベストじゃないでしょうか。(いくつかの楽団は許諾が降りず、リリースされないそうです)技術も音楽も非常に高いレベルで展開されるので、安心して聴くことが出来ます。

アラルコン自身の作品も含まれています。彼は「インヴォカシオン」以外の作品も優れているのでぜひこの機会に多くの作品を知って欲しいなと思います。

「パス・デ・クアトレ」はクラリネット四重奏と吹奏楽のための作品。ゲストでバルセロナ・クラリネット・プレイヤーズが参加しています。20分を超える大作ですが、客演指揮のレイニッシュ氏が上手くコントロールしている印象ですね。

伊藤康英氏の「広島の朝の歌」は自作自演のヨーロッパ初演。2009年の作品ですが、10年の時を経てのヨーロッパ初演となりました。ヒリヒリとするような激しさのある作品で、このバンドのサウンドに合っていると思います。

そしてこのCDの目玉はジェイムズ・M・スティーヴンスンの交響曲第2番「ヴォイセズ」でしょうね。オストウォルド賞とレヴェリ作曲賞の二冠を達成した名作です。現在進行系で徐々に色んな国での初演が続いているようですが、ちょっと前までWBP Plus!を運営しているONSAが楽譜出版事業のGolden Hearts Publicationsで彼自身の出版社と契約していてプロモーションを続けていたので、なかなか感慨深いものがあります(現在は彼の作品のほとんどはHal Leonardに全世界のディストリビューション権利が移ったのでGolden Hearts Publicationsでは契約していません)。

これまた大作ですが、メリハリを効かせつつ細かい動きも聴かせつつ、なかなか良い演奏に仕上がっています。まだあまりこの作品を収録したCDがないのでコレクトしておきたいですね。

最後の「ティム」はアンコールですね。副題に「ブリティッシュ・パソドブレ」とありますが、スペインのバンドらしく最後はパソドブレで終わりますよ、ってことなんでしょう。でもブリティッシュ、とあるだけあって想像するパソドブレとは雰囲気が違いますね。ホルストやエルガーがパソドブレ書いたらこんな感じになるのかな、っていう面白い作品です。オシャレにコンサートを締めくくっています。

これ、といった強烈なバンドの個性はないものの、クオリティはとても高いですし、作品もあまり一度に聴くことがないようなゴツイのが並んでいるので、オススメの1枚ですね。

Yahoo!ショッピング店で買う

楽天市場店で買う

レビュー:梅本周平(Wind Band Press)


商品詳細は以下の通り。

■原題:2019 WASBE Bunol, Spain: Union Musical Santa Cecilia de Villar del Arzobispo

■指揮者:ルイス・セラーノ・アラルコン(Luis Serrano Alarcon)
■客演指揮:伊藤康英(Yasuhide Ito)、ティモシー・レイニッシュ(Timothy Reynish)

■演奏団体/演奏者:ビジャール・デル・アルソビスポ・サンタ・セシリア音楽団(Union Musical Santa Cecilia de Villar del Arzobispo)
バルセロナ・クラリネット・プレイヤーズ (Barcelona Clarinet Players)

■レーベル:マーク・カスタム (Mark Custom)

■発売年:2019

■収録曲:

1. 砂漠のバラ:ホセ・マルティネス・ガレゴ [17:43]
La Rosa del Desierto:Jose Martinez Gallego

2. パス・デ・クアトレ:ルイス・セラーノ・アラルコン [13:29] 【ヨーロッパ初演】
Pas de Quatre (For clarinet quartet and wind ensemble):Luis Serrano Alarcon

3. 広島の朝の歌:伊藤康英 [8:43] 【ヨーロッパ初演】
Morning Songs in Hiroshima:Yasuhide Ito

交響曲第2番「ヴォイセズ」:ジェイムズ・M・スティーヴンスン 【スペイン初演】
Symphony #2 “Voices”:James M. Stephenson
4. Mvt. I Prelude: ‘of Passion’ [5:54]
5. Mvt. II Shouts and Murmurs [8:35]
6. Mvt. III Voices of One [7:20]

7. ティム:ルイス・セラーノ・アラルコン [5:04]
Tim(a British Pasodoble):Luis Serrano Alarcon

Yahoo!ショッピング店で買う

楽天市場店で買う




協賛






その他Wind Band Pressと同じくONSAが運営する各事業もチェックお願いします!

■楽譜出版:Golden Hearts Publications(Amazon Payも使えます)


■オンラインセレクトショップ:WBP Plus!






■演奏会の企画やチケット販売その他各種ビジネスのお悩み相談やプレスリリース代行依頼もお受けしています!

様々な経験をもとに、オンラインショップの売上を上げる方法や商品企画、各種広報に関するご相談、新規事業立ち上げのご相談など承ります。初回相談無料です。そのほか、プレスリリース代行などの実務作業も承ります。よろずご相談下さい。



▼人気の記事・連載記事

■プロの指揮者・岡田友弘氏から悩める学生指揮者へ送る「スーパー学指揮への道」
プロの指揮者・岡田友弘氏から悩める学生指揮者へ送る「スーパー学指揮への道」

■作曲家・指揮者:正門研一氏が語るスコアの活用と向き合い方
作曲家・指揮者:正門研一氏が語るスコアの活用と向き合い方

■有吉尚子の【耳を良くする管楽器レッスン法】~ソルフェージュ×アレクサンダー・テクニーク~
有吉尚子の【耳を良くする管楽器レッスン法】~ソルフェージュ×アレクサンダー・テクニーク~

■【エッセイ】ユーフォニアム奏者・今村耀の『音楽とお茶の愉しみ』
今村耀エッセイ

■僧侶兼打楽器奏者 福原泰明の音楽説法
福原泰明の音楽説法

■石原勇太郎の【演奏の引き立て役「曲目解説」の上手な書き方】
曲目解説の上手な書き方

■石原勇太郎エッセイ「Aus einem Winkel der Musikwissenschaft」
石原勇太郎エッセイ

■音楽著作権について学ぼう~特に吹奏楽部/団に関係が深いと思われる点についてJASRACさんに聞いてみました
音楽著作権について学ぼう

■【許諾が必要な場合も】演奏会の動画配信やアップロードに必要な著作権の手続きなどについてJASRACに確認してみました
動画配信